頑張っても誰にも褒められない…」フリーランスが心の承認欲求を満たすヒント
フリーランスとして働き始めて間もない頃、会社員時代との違いに戸惑うことは少なくありません。その中でも特に、以前は当たり前だった「頑張りを誰かに認めてもらう機会」が減ってしまい、なんだか心が満たされない、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
上司や同僚からの「ありがとう」「助かったよ」といった言葉、プロジェクトの成功をチームで祝う経験、昇進や昇給といった具体的な評価。これらは、頑張っている自分を肯定し、次へのモチベーションに繋がる大切な要素でした。しかし、フリーランスになると、仕事は基本的に一人で完結することが多く、こうした外部からの承認を得る機会がぐっと減ってしまいます。
「誰かに頑張りを見ていてほしい」「ちゃんと評価されたい」という気持ちは、決して特別なことではありません。人間なら誰もが持っている自然な「承認欲求」という感情です。この承認欲求が満たされない時、私たちは漠然とした不安を感じたり、モチベーションが維持しにくくなったりすることがあります。
なぜフリーランスは承認欲求が満たされにくいと感じるのか?
フリーランスが承認欲求に関して悩みを抱えやすいのには、いくつかの理由があります。
- 評価システムがない: 会社のように明確な評価制度や昇給・昇進の基準がありません。クライアントからの評価はありますが、それが定期的にあるとは限りませんし、直接的な褒め言葉よりも、仕事が継続するかどうかが最大の評価基準となることが多いです。
- 仕事が一人で完結する: プロジェクトによってはチームで働くこともありますが、多くの場合、企画から納品までを一人で行います。プロセスを共有する相手がいないため、頑張っている途中の苦労や工夫が誰にも伝わりにくい環境です。
- フィードバックが少ない: クライアントからのフィードバックは、修正指示や納品確認が中心で、個人の成長や努力に対するポジティブな評価が少ない場合があります。
- 周囲に同じ仕事をする人が少ない: 同じ分野で働くフリーランスの仲間が周りにいない場合、自分のスキルレベルや仕事の質について客観的な評価を得る機会が限られます。
心の承認欲求を満たすためのヒント
外部からの承認が少ない環境でも、心の承認欲求を満たし、前向きに働くためのヒントをいくつかご紹介します。
1. 「外部承認」から「自己承認」へ意識を切り替える
これまでは他者からの評価に頼っていた部分を、自分で自分を認め、褒める「自己承認」の割合を増やしてみましょう。
- できたことを具体的に記録する: その日できたこと、一つ一つ乗り越えた課題、工夫した点などを、日記やタスクリストに書き出してみてください。「今日は〇〇の難しい設定をクリアできた」「クライアントに〇〇を提案したら喜んでもらえた」など、小さなことでも構いません。目で見て「できたこと」を認識することで、達成感を得られます。
- 自分自身を褒める時間を作る: 一日の終わりに「今日もよく頑張ったね」「あの難しい仕事、諦めずにやりきった自分、すごい!」など、声に出したり心の中で思ったりして、自分自身を労い、褒めてみましょう。これは自分を甘やかすことではなく、モチベーションを維持するための大切なセルフケアです。
2. フィードバックを積極的に求める
クライアントや協力者に対して、仕事の進捗や成果について率直な意見や感想を求めてみましょう。「今回の〇〇はいかがでしたか?今後の参考にぜひご意見をいただきたいです」「〇〇の点は特に工夫してみたのですが、いかがでしたでしょうか?」のように、具体的に質問すると返答が得られやすいです。ポジティブなフィードバックが得られれば励みになりますし、改善点が見つかれば成長の機会となります。
3. 信頼できるコミュニティや仲間を作る
同じフリーランスという立場で働く仲間や、信頼できる友人・家族との繋がりを持つことは、孤独感を和らげ、共感を得る上で非常に有効です。仕事の悩みや頑張っていることを話したり、相手の頑張りを聞いたりすることで、「一人じゃないんだ」「自分も頑張ろう」という気持ちになれます。オンライン・オフライン問わず、交流できる場を探してみましょう。
4. 成長プロセスそのものに価値を見出す
成果だけでなく、新しいスキルを習得したこと、難しい問題に取り組んだ過程、諦めずに粘り強く取り組んだ自分自身の成長プロセスそのものに目を向けて、価値を見出しましょう。他人からの評価は結果に対して向けられがちですが、自己承認はプロセスに対しても行うことができます。
まとめ:自分自身の「最高の理解者」になろう
フリーランスとして働く上で、外部からの評価や承認の機会が減ることは、多くの人が経験する変化です。「誰にも褒められない」と感じて落ち込むことは、自然な心の反応です。
大切なのは、その感情を否定せず、自分自身の頑張りを一番近くで見ている「自分自身」が、自分を認め、褒めてあげることです。自己承認の習慣を身につけることで、外部からの評価に左右されすぎず、内側から湧き上がるモチベーションを育んでいくことができます。
もちろん、信頼できる仲間やコミュニティとの繋がりも、心の支えとなります。一人で抱え込まず、時には自分の頑張りを言葉にして、誰かに聞いてもらうことも大切です。
あなたは今日も、フリーランスとして新たな一歩を踏み出し、多くのチャレンジを乗り越えています。その努力は、あなたが思っている以上に素晴らしいものです。まずは、自分自身がそのことを認め、褒めてあげましょう。
もし、今「誰にも褒められないな」と感じて心が疲れているなら、少し立ち止まって、今日「できたこと」を思い出してみてください。きっと、小さな発見や、自分を誇らしく思える瞬間があるはずです。あなたは一人ではありません。ここでその気持ちを共有し、一緒に乗り越えていきましょう。