会社員時代の「評価」がない不安…フリーランスが自分を正しく見つめるヒント
フリーランスになって「自分の現在地」が見えにくくなっていませんか?
会社員として働いていると、定期的な人事評価があったり、昇給や昇進といった目標があったり、あるいは同僚や上司との比較を通じて、自分の仕事の成果やキャリアの進捗をある程度把握できます。
しかし、フリーランスになると、そういった組織的な「評価制度」や明確な「キャリアパスの指針」が一切なくなります。
「自分の仕事ぶりはこれで良いのだろうか?」 「ちゃんと成長できているのかな?」 「これからどこに向かっていけば良いのだろう?」
このように、自分の現在地や将来について漠然とした不安を感じることは、フリーランスになったばかりの方によくある悩みです。相談する上司もいない環境で、すべてを自分で判断しなければならないことに、戸惑いや心細さを感じてしまうのも無理はありません。
なぜ、フリーランスは自己評価が難しくなるのでしょうか?
会社員時代との大きな違いは、「客観的な外部基準」がほとんどなくなる点にあります。
組織には組織の目標や評価基準があり、それに沿って一人ひとりの貢献度やスキルが測られます。また、先輩や上司といったロールモデルが身近にいて、彼らの姿から自分の目指すべき方向性を見つけやすい側面もあります。
一方、フリーランスの場合、クライアントからの評価は個別のプロジェクトに対するものが主で、網羅的な自己成長の指標にはなりにくいものです。収入も一つの指標ではありますが、それがそのままスキルや人間性の向上を表すわけではありません。
そのため、自分の成長やスキルアップをどのように測れば良いのか分からず、漠然とした不安に繋がってしまうのです。また、他者の活躍をSNSなどで目にすると、「自分は置いていかれているのでは?」と焦りを感じやすくなることも、この自己評価の難しさと関係しています。
フリーランスが自分を正しく見つめるためのヒント
では、このような不安を和らげ、フリーランスとして着実に歩みを進めていると実感するためには、どうすれば良いのでしょうか。いくつかのヒントをご紹介します。
1. 自分なりの「評価軸」を設定してみましょう
組織の基準がないなら、自分自身の基準を作ってしまえば良いのです。収入や仕事量だけでなく、様々な側面から自分を評価する軸を持ってみましょう。
- スキルの習得・向上: 新しい技術や知識を学ぶ時間を作れているか、具体的なスキルレベルは向上しているか。
- クライアントとの関係性: 継続的な依頼があるか、良好なコミュニケーションが取れているか、ポジティブなフィードバックはもらえているか。
- 仕事の質・効率: 納品物の質に満足できているか、以前より短い時間で質の高い仕事ができるようになっているか。
- 提案力・交渉力: クライアントに対して積極的に提案できているか、報酬や条件について適切に交渉できているか。
- 自己管理能力: 納期管理、体調管理、タスク管理などを適切に行えているか。
- 満足度・充実感: 仕事内容にやりがいを感じているか、ワークライフバランスは取れているか。
これらの評価軸は、すべてを完璧にする必要はありません。今の自分が特に大切にしたいこと、力を入れたいことを中心に設定し、定期的に振り返る習慣をつけることが重要です。
2. 短期・中期・長期の「目標」を具体的に立ててみましょう
漠然とした不安は、「どこに向かっているか分からない」ことから生じやすいものです。具体的な目標を設定することで、自分が今やるべきこと、目指すべき方向が見えてきます。
例えば、
- 短期(〜3ヶ月): 新しいツールの使い方を習得する、特定のクライアントから継続依頼を得る、週〇時間作業時間を確保する。
- 中期(〜1年): 売上を〇%アップさせる、自分のWebサイトをリニューアルする、新しい分野の案件に挑戦する。
- 長期(〜3年、5年): 特定の分野の専門家として認知される、特定の働き方を確立する、〇〇なライフスタイルを実現する。
といったように、具体的な目標を設定します。そして、その目標に対して今の自分がどの位置にいるのかを定期的に確認することで、進捗を把握しやすくなります。目標は固定せず、状況に応じて柔軟に見直して構いません。
3. 客観的な視点を得る工夫をしてみましょう
完全に一人で抱え込まず、外部からの客観的な視点を取り入れることも有効です。
- 同業者やメンターとの交流: フリーランスのコミュニティに参加したり、信頼できる先輩フリーランスに相談したりすることで、客観的な意見やアドバイスをもらえます。
- 実績の可視化: ポートフォリオサイトを作成するなど、自分の過去の実績を整理し、第三者に見せる形にすることで、自分自身でも客観的に振り返ることができます。
- フィードバックを積極的に求める: クライアントに「今回の仕事の良かった点、改善点があれば教えていただけますか?」と尋ねてみるのも良いでしょう。
- 自己レビューの習慣: 定期的に(週に一度など)、その期間の仕事や学び、感じたことなどを書き出す時間を持ちましょう。ジャーナリングは、自分の思考や感情を整理し、客観視するのに役立ちます。
4. 会社員時代の評価基準から解放されましょう
フリーランスになったのですから、会社員時代の「〇年目で課長」「誰かに褒められる」といった基準から一度離れてみましょう。組織に評価されることだけが、あなたの価値を決めるものではありません。
フリーランスという働き方を選んだのは、きっとあなた自身の意志があったからでしょう。組織の枠にとらわれず、自分らしい「成長」や「成功」の形を定義し直すチャンスです。他者との比較ではなく、過去の自分と比較して、どんな小さなことでも「できるようになったこと」「乗り越えたこと」を見つけて、自分自身を認めてあげましょう。
焦らず、自分のペースで
フリーランスとしてのキャリアは、自分で道を切り拓いていくものです。すぐに明確な答えが見つからなくても焦る必要はありません。今日ご紹介したヒントを参考に、少しずつでも自分なりの評価軸や目標を見つけていくプロセス自体が、あなたのフリーランスとしての強みになっていきます。
一人で悩まず、「フリーランスこころ相談室」のようなコミュニティで他のフリーランスと繋がってみるのも良いでしょう。あなたは一人ではありません。あなたのペースで、自分らしい働き方と成長の形を見つけていってください。応援しています。