フリーランスの「全部自分で決めなきゃ」プレッシャー、どう和らげる?
フリーランスとして働き始め、「自由だ!」と感じる一方で、戸惑いやプレッシャーを感じることはありませんか?会社員であれば上司やチームで決めていたことも、フリーランスになると全て自分で判断し、決定しなければなりません。仕事内容、進め方、価格設定、働き方、休み方、さらには勉強すべきことまで、挙げればきりがありません。
「本当にこれでいいの?」一人で決めることの不安
特にフリーランスになりたての場合、経験が少ないため、「この判断は本当に正しいのだろうか?」「もし間違っていたら、誰にも責任を問えない」といった不安を感じやすいものです。
- 仕事の依頼を受けるべきか、断るべきか
- 提示された金額で引き受けて良いのか
- 複数のタスクのどれから手をつけるべきか
- 納期の設定は適切か
- 新しいツールや技術を学ぶべきか
こうした日々の小さな決定から、自分のキャリアに関わる大きな決定まで、常に自分で選び取る必要があります。この「全てを自分で決めなければならない」という状況が、知らず知らずのうちに心の負担となり、プレッシャーや不安、時には決定疲れ(Decisional Fatigue)として現れることがあります。
なぜフリーランスは「決めるプレッシャー」を感じやすいのでしょうか?
このプレッシャーは、決してあなたが弱いから感じるのではありません。フリーランスという働き方の構造上、自然に生じやすいものです。
- 相談相手が少ない: 会社員のように、すぐに上司や同僚に相談して意見を聞く、あるいは決定を仰ぐという環境がありません。一人で考え込む時間が長くなります。
- 責任の全てが自分に: 自分で下した決定の結果は、良くも悪くも自分自身に直接返ってきます。この責任の重さがプレッシャーにつながります。
- 「正解」が分かりにくい: 多くの選択肢に絶対的な「正解」はありません。その時の状況や価値観によって最適な解は変わります。この不確実性が不安を生みます。
- 選択肢の多さ: 仕事や情報があふれる現代において、選択肢は無限にあります。その中から一つを選び取る作業は、エネルギーを消耗します。
こうした要因が重なり、一つ一つの決定が億劫になったり、「どうせ失敗するかも」と後ろ向きな気持ちになったりすることがあります。
自分で決めるプレッシャーを和らげるヒント
では、この「自分で決めなければならない」プレッシャーとどのように向き合えば良いのでしょうか。いくつかの考え方や具体的な方法をご紹介します。
1. 完璧な決定を目指しすぎない
まず大切なのは、「常に完璧な決定をしなければならない」という考えを手放すことです。多くの場合、完璧な決定というものは存在しません。その時点で最善だと思える「ベターな選択」で十分なのです。
「後から振り返って改善すれば良い」「今回の経験を次に活かそう」くらいの心構えでいると、決定することへのハードルが少し下がるでしょう。
2. 決定の「基準」を持つ
何を基準に決定するかを事前に考えておくと、迷いが減ります。例えば、
- 自分の目標: この仕事は長期的な目標達成にどう役立つか?
- 価値観: 自分は何を大切にしたいか?(収入、時間、やりがいなど)
- リスク許容度: どこまでリスクを取れるか?
- 直感: 何か「違う」と感じるものはないか?
明確な基準があれば、選択肢を絞りやすくなり、決定にかかるエネルギーを節約できます。
3. 情報を集めつつ、情報過多に注意する
決定に必要な情報を集めることは大切ですが、情報を集めすぎるとかえって混乱し、決定を先延ばしにしてしまうことがあります(分析麻痺)。「必要な情報はこれくらい」と見切りをつけ、ある程度の情報が集まったら決断する練習をしましょう。
4. 信頼できる人に相談する
フリーランスとはいえ、完全に一人で抱え込む必要はありません。信頼できる友人、家族、フリーランス仲間、あるいはメンターや専門家など、話を聞いてくれる相手に相談してみましょう。人に話すことで考えが整理されたり、自分とは違う視点からの意見が得られたりします。相談相手がいなくても、日記に書き出してみるだけでも効果があることがあります。
5. 小さなことから「決める練習」をする
大きな決定に尻込みしてしまう場合は、日常の小さなことから自分で意識的に決める練習をしてみましょう。「今日のランチはこれにする」「休憩時間は〇分取る」「このタスクは〇時までに終わらせる」など、成功体験を積み重ねることで、自分で決定することへの自信につながります。
6. 決定後の「振り返り」を習慣にする
決定した結果がどうであれ、必ず振り返りを行いましょう。うまくいった場合は、なぜうまくいったのかを分析し、次に活かします。うまくいかなかった場合も、自分を責めるのではなく、「この決定には〇〇というリスクがあった」「次回は〇〇を考慮しよう」と学びとして捉えます。振り返りは、次に同じような状況になった時の判断材料になります。
7. 休息を取り、心身を整える
疲れている時は、判断能力が鈍り、ネガティブな思考になりやすいものです。自分で決めることが増える分、意識的に休息を取り、心身をリフレッシュすることが重要です。散歩をする、趣味に没頭するなど、仕事から離れる時間を作りましょう。
まとめ:決定は成長の機会
フリーランスとして自分で決定していくことは、確かにプレッシャーを伴いますが、それは同時に、自分自身の考えを深め、責任感を持ち、成長していくための大切な機会でもあります。
「全部自分で決めなきゃ」というプレッシャーを感じるのは、あなたが真剣に仕事に向き合っている証拠です。一人で全てを完璧にこなそうとせず、今回ご紹介したヒントを参考に、少しずつ「自分で決める」ことに慣れていってください。そして、困った時は「フリーランスこころ相談室」で同じように悩む仲間と繋がったり、アドバイスを求めたりすることもできます。
あなたは一人ではありません。少しずつ、あなたのペースで進んでいきましょう。