仕事が順調なのに虚しい…フリーランスが「働く意味」を見失いそうになったら
フリーランスとして働き始め、少しずつ仕事が順調に進み始めた頃。収入も安定し、クライアントとの関係も良好。周りから見れば順風満帆なのに、なぜか心の中にぽっかりと穴が開いたような虚しさを感じたり、「何のためにこんなに頑張っているんだろう?」と、働く意味を見失いそうになったりすることはありませんか?
会社員時代とは違うこの感覚に戸惑い、「自分だけがおかしいのだろうか」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。でも、それは決してあなただけではありません。多くのフリーランスが、キャリアのある時点で経験する可能性のある、ごく自然な心の動きなのです。
今回は、なぜ仕事が順調なのに「働く意味」を見失いそうになるのか、その原因を探り、そこから抜け出し、再び前向きに仕事に取り組むためのヒントを一緒に考えていきましょう。
なぜ「働く意味」を見失いそうになるのか?
仕事が順調であるにもかかわらず、働く意味ややりがいが見えにくくなるのには、いくつかの理由が考えられます。
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組織という「大義」からの解放 会社員の場合、「会社の成長に貢献する」「部署の目標を達成する」といった、自分より大きな組織の目標や理念に沿って働くことが、働く意味の一部になっていました。しかし、フリーランスは基本的に個人事業主です。良くも悪くも、自分自身が全ての中心になります。「誰かのため」「何かのため」といった分かりやすい目標が、意識しないと見えにくくなることがあります。
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日々のタスクに追われると視野が狭まる フリーランスは、営業から実務、経理まで、多岐にわたる業務を一人でこなす必要があります。常に目の前のタスクを処理することに追われていると、自分が何のためにそれを行っているのか、その仕事の先に何があるのかといった、より大きな視点を見失いがちです。
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自分自身の評価基準が曖昧になる 会社員には、上司からの評価や昇進、同僚との比較など、外部からの分かりやすい評価基準がありました。フリーランスの場合、クライアントからの評価はありますが、それはあくまで仕事に対するものです。自分自身の成長やキャリア全体に対する評価基準を自分で持っていないと、どこに向かっているのか分からなくなり、虚しさを感じやすくなります。
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内的なモチベーションの維持が難しい 外部からの評価や目標が少ない分、フリーランスには自分自身の内的なモチベーションが非常に重要になります。「これがやりたい」「このスキルを極めたい」といった内発的な動機が薄れてしまうと、仕事は単なる作業になり、働く意味を見失いやすくなります。
働く意味を再発見するためのヒント
もしあなたが今、「仕事は順調なのに虚しい」「働く意味が分からない」と感じているなら、それは立ち止まり、自分自身と向き合うための大切なサインかもしれません。ここからは、その感覚と向き合い、再び働く意味を見つけ出すための具体的なヒントをご紹介します。
1. 立ち止まって内省する時間を作る
まずは、忙しい日常から意識的に離れ、静かに自分自身と向き合う時間を作ってみましょう。「なぜフリーランスになったのだろう?」「どんな働き方を理想としていたのだろう?」といった、初心を振り返ってみてください。
- フリーランスになる前の気持ちを書き出す: ノートやデジタルツールを使って、フリーランスになることを決めた理由、期待していたこと、不安だったことなどを書き出してみましょう。
- 理想の働き方や暮らしを言語化する: お金のためだけでなく、「どんな仕事で」「誰に価値を提供したいか」「どんなライフスタイルを送りたいか」など、理想とする働き方や暮らしを具体的に言葉にしてみましょう。
2. 短期・中期・長期の目標を再設定する
漠然とした不安や虚しさは、目標が見えにくいときに感じやすいものです。具体的な目標を設定し直すことで、日々の仕事がその目標に繋がっているという感覚を取り戻すことができます。
- スキルアップの目標: 「〇ヶ月後までにこのスキルを習得する」「来年はこの分野の仕事に挑戦する」など、具体的なスキルや分野に関する目標を立てます。
- 収入以外の目標: 「新しいクライアントとの出会いを〇件作る」「週に〇時間は自己学習にあてる」「趣味の時間を週に〇時間確保する」など、金銭的な目標だけでなく、自己成長やQOL(生活の質)に関する目標も設定しましょう。
- 社会的な目標: 「自分の仕事を通じて、〇〇な社会課題の解決に貢献したい」「〇〇な人たちを助ける仕事をしたい」など、より大きな視点での目標を考えてみることも、やりがいを見つけるきっかけになります。
3. 仕事の成果を「見える化」する
フリーランスは評価が分かりにくいからこそ、自分で自分の仕事を認め、「見える化」することが大切です。
- 完了リストを作成する: 一日の終わりに、その日できたこと、完了したタスクをリストアップしてみましょう。どんな小さなことでも構いません。「こんなにたくさんのことができた」と、達成感を得られます。
- 感謝や喜びの声を記録する: クライアントからの感謝のメールや、仕事を通じて得られた良い反応などを一箇所にまとめておきましょう。見返すことで、自分の仕事が誰かにとって価値があるということを再認識できます。
4. プライベートを充実させる
仕事一辺倒になっていると、どうしても視野が狭まり、「働くこと=人生の全て」のように感じてしまいがちです。仕事以外の時間を大切にし、プライベートを充実させることで、心にゆとりが生まれ、仕事への向き合い方も変わってきます。
- 趣味や学びの時間を確保する: 好きなことに没頭する時間や、仕事とは関係ない分野を学ぶ時間を持つことで、リフレッシュできたり、新しい視点を得られたりします。
- 友人や家族との時間を大切にする: 仕事から離れて大切な人たちと過ごす時間は、心を安定させ、仕事へのモチベーションを間接的に高めてくれます。
5. 他のフリーランスや信頼できる人に話を聞いてもらう
一人で悩みを抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうことも有効です。同じようにフリーランスとして働く仲間に話を聞いてもらえば、共感を得られたり、具体的なアドバイスをもらえたりするかもしれません。
- オンライン・オフラインのコミュニティに参加する: 同じような境遇の人と繋がれる場所に参加してみましょう。悩みを共有するだけでも心が軽くなることがあります。
- 信頼できる友人や家族に話す: フリーランスの働き方を理解してもらうのは難しいかもしれませんが、まずは自分の感情を素直に話してみることも大切です。
6. 小さな「できた」を積み重ね、自分を褒める
大きな成果だけでなく、日々の小さな「できた」にも目を向け、自分を褒めてあげましょう。
- タスクを細分化し、完了ごとに自分を褒める: 大きなプロジェクトを小さなタスクに分解し、一つ完了するごとに「よし、できた!」と意識的に自分を認めましょう。
- 努力の過程を認める: 結果だけでなく、そこに至るまでの努力や頑張った過程を自分で評価してあげてください。
まとめ
仕事が順調であるにもかかわらず、「働く意味」を見失いそうになる感覚は、多くのフリーランスが経験する可能性のある、心の成長過程とも言えます。それは決してネガティブなことだけでなく、自分自身の働き方や人生について深く考えるための、大切な機会を与えてくれているのかもしれません。
もし今、あなたがこの感覚に直面しているなら、どうか一人で抱え込まないでください。立ち止まって自分自身と向き合い、目標を再設定し、日々の小さな成果を認め、そして、仕事以外の時間も大切にすることで、きっと再び、自分にとっての「働く意味」を見つけ出すことができるはずです。
この「フリーランスこころ相談室」が、あなたが一人ではないと感じ、前向きな一歩を踏み出すための支えとなれば幸いです。